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原発絵本プロジェクトを始めた理由。

原発


原発絵本プロジェクト この国にひかりがみちるまで の京都での展示が決まりました。





なぜ絵本なのか


このプロジェクトは、震災から1ヶ月後、突如わたしのあたまんなかで始まったプロジェクトです。



地震の直後、青い空に白い雲とゆう、あの平和!そのものの福島第一の建屋の模様の亀裂から、イラストの白い雲ではない、ものっそい邪悪な色した煙がもくもくと上がっている光景を見て以来、

原発がどういう仕組で動いてて、なんで事故って、これからどんな被害が起きるのか、についての情報は、あの建屋からはきだされる真っ黒な雲のようにあっというまにインターネット中を席巻し、

どうしよもない不安と怖れが放射能よりさきに心ん中を汚染し、無知なわたしはまず原発とはなんなのか、というところから始まって、ああ、なんでこんなことが起きてるのか、と誰に問いてもわからん疑問が浮かぶのだけど、ネット上のおびただしい情報の中にはひとつも核心にせまる答えがない。

テレビやネットでは、燃え上がる原子炉建屋の悪魔的な絵図が大写しにされ、それでもなお、どす黒い煙の合間に見える、ブルーとホワイトの脳天気なコントラストが、どこかでまだ間抜けな感じを残していて、それは、東電の今までの呆れるほどの脳天気さと、それが引き起こした事態の深刻さのギャップを象徴するような絵面で、同時に、こうなる前は、この恐ろしい機械は東電が意図していたとおり本当に夢の装置として多くの人びとに受け入れられ、福島の人びとに見守られていたんだな、ということも分かるわけで。



なにをしていても、「原発」という単語が、背骨のあたりにこびりついて離れない。



そんな状況で、どちらの陣地に踏み込むべきかはわからないけれど、この問題とは自分なりに向き合わなければいけないような気がする。



そう思っていた私の胸に、ぽん、と答えがでてきたのが、震災からようやく1ヶ月後のことでした。



「“気にするか” “気にしないか”、それはもはや決断だ」


少し前、尊敬する思慮深い方に

「放射線を“気にするか” “気にしないか”、それはもはや決断だ。」と言われたのがとても印象に残っているのですが、

その言葉通り、これからの未来を生きるわたしたちには、漫然と生きることはもはや許されないのだな、とつくづく感じます。

だったら、これから各人が、原発問題をどう受け止め、どう行動するか、を決断する材料のひとつとして、「これまでの歴史」を知ることは、有用なのではないか。

ネット上やら市民メディア上やらで、原発が安全か安全じゃないかを怖い顔で議論し、これからの被害など、東電の落ち度などを声高に叫ぶこともできるけど、それ以外の方法で、わたしはこの「原発」というものと、わたしたちとの関わりの歴史を、表現することもできるのではないか?

と思い、「フクシマ以前のこの国の原発の歴史」を、絵本という形で表現することを考えたのでした。





原発はすぐには止まらないけれど


それは、なんの倫理観でも正義感でも、なにかを啓発したいという意志でもなく、
べつにこれを作ったからと言って、原発反対派が増えるわけでもないし、安全情報をご提供できるわけでもない、

6万人の原発反対のデモも新聞やテレビは報じないけど、
数年後の原発再開に向けて、福島の原子炉は既に原発メーカーへ発注済みであるという、反対派が仰天するような事実はそれ以上に報じられないわけで。

どうやったってすでにある仕組みの中での原発再推進の流れは止められない。

そんな絶望の中で、これを作るのになんの意味があるのか、という苦しさもあるのですが、
けれど、「これまでの原発」の姿を記憶し留めておくことは、これから子どもを持つはずの私たちにとって、必要なことなのではないか?と、
そう思ったんです。

これから先、生まれてくる小さい子たちは、日本の一部に住めなくなっている土地があることを不思議に思うだろうし、
なぜ「ヒロシマ」「ナガサキ」に並んで福島が「フクシマ」とカタカナ表記されるのかも疑問だろうし、
大人たちがこんなに食の安全について神経質になっているのかもわからないだろうし、
なぜ自分たちが甲状腺ガンになっているのかもわからないだろう。

そうしたときに、「これまで原発というものを受け入れてきた、この国の歴史」をやさしく示すものがあるというのは、これから先の未来のだれかにとっては有用かもしれん。

たぶん、小さい頃、NHKのアニメで見た「野坂昭如 戦争童話集」の影響も確実にある。



アニメーションの中で、やさしい目をしたクジラが軍艦に砲撃されて、青いクレヨンの海に、真っ赤なクレヨンの血をどばとまき散らして死ぬシーンは、まるで自分の頭も、青と赤の砲弾で撃ちぬかれたような衝撃で、きっとそれが自分のどこかに焼き付いていたのだろうと思います。



素敵な場所です、あいたるがぼん


すぐに、カワイイけれどなんだか人を不安にさせる絵をお描きになるグラフィックデザイナーのHoxai.graphicsさんが参加してくださり、2人チームでこのプロジェクトは始まり、

しかし、始めてみれば、この国の複雑な原発の歴史を簡単な物語にするのはたいへんややこしく、また、ストーリーにしてみれば実際は地味なもので、一体だれがこれを読んでくれるのか不安に思ったりもしましたが、

金魚カフェさんでの展示、それをきっかけに、イベントなど人が集まる場を作れること自体が私は嬉しい。

そんな場をもっと作って行けたらいいな、という事で、今度は京都のカフェ「アイタル・ガボン」様にて展示をさせていただきます。

見知らぬ土地にて心細い中、偶然にも、立地がよく、食べものを注文すれば完全ハズレなしの、町家を改装したとってもすてきな人気急上昇中のカフェにめぐり合い、
しかも、店主のお二人のできるかぎりのサポートをしますという温かいお言葉と姿勢、

とてもありがたいことだよね。

果たして関西での原発についての関心度合いはどれほどなのか?等、不明点も多く、それゆえ不安もありますが、これを機に少しでも関西の方々の考えを知れたら、など、思っている次第です。

一年前までニートだった自分がこんなことをしているなんて、というそちらの驚きもありますが、最終的に出版までなんとかこぎつけたいとマジに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

展示の詳細は以下です。

■Info■

河原町丸太町のカフェ「ItalGabon」にて



10月23日(日)~11月6日(日)
ItalGabon アイタルガボン

京都市上京区中町通丸太町上ル俵屋町435
phone : 075-255-9053
11:30 open ~ 22:00 close 不定休
不定休のため、営業予定を コチラ からご確認いただいてからお越しください。
ItalGabon(あいたるがぼん)のtwitter
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About me

小野美由紀

Author:小野美由紀
こちらにブログ移行しました→http://onomiyuki.com/

慶應大学仏文学科2010卒。
学生時代は「深夜特急」に憧れ世界一周22カ国等海外でフラフラ。一番の思い出はスペイン巡礼。
NPOカタリバ学生職員、道塾を経、現在はフリーライター。
「まれびとハウス」でのんびり料理する日々。
WEBサイトのライティングや仏語翻訳も請負います。
いつか巡礼について読み物を書きたいと思っています。

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